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● 2002年 音楽学校スタッフ同行日記 ●
8月24日 初日(新冠公演)

新冠レ・コード館の大部屋、スタッフ及び演劇部楽屋では、なんとストーブを焚いています。
今日は冷たい雨が降っています。 いつもより、ぐっと早く仕上がった今年のお芝居、主題は「わかるとはなにか」ということです。今年度は、一昨年までのような「演奏論」というか、「演奏という行為そのものの説明」ではありません。理由はある意味でははっきりしていて、「夜のガスパール」で「この部分のグリッサンドがなに」とか「この32分音符の2度は水の流れで」とか、そういう絵解きをやってもしょうがないし、2時間の芝居時間があっても無理だ、ということになった。

そんなわけで、今年のチラシの面に書かれたとおりそのまんまの、「ピアニストがステージの上で何を考えているかが分かる」という内容になったのであります。で、それが、なんで骨だったり、つるはしだったりするのか…それはですね、ええっと、とと(後ろから羽交い締めにするWの妻M)、はいはい、まだご覧になっていない方々もいることですし、いずれ全公演が終わったところで改めて。
あ、でも話したい、ね、ちょっとだけでもいいでしょ…だめ?だめですかあ。ほんと、今年は笑える、笑っているうちに妙にすとんと腑に落ちる、だから絶対見に来てね、と大声でいいたいのだよおぉ...
(妻に引っ張られて退場のW)

 
8月22日 合宿第4日

本日も天気は良く、晴れ渡っております。でも風は強い。新冠から眺める太平洋の遙か沖には白波が立ち、鮭がのぼり始めた新冠川(仲道さんのお嬢様まこちゃんは、昨日、カヌーにのり、鮭の群れに囲まれたそうです)からは、ドロを含んだ茶色の水が海に流れ込み、様々な色の海面になっております。

で、本日、とうとう台本が上がりました。午後から読み合わせ、舞台の上での最初の通しが行われました。今年は「曲の説明」は殆どなく、チラシにでっかく書いてあるように「ステージの上でピアニストが何を考えているかがわかる」ことが主題です。中味は、もうちょっとしたらお教えしましょう。ただ、相当に笑えます。昨年ほどの派手な動きはありませんが。今問題になっているのは、第3景で登場する小道具の骨であります。骨、です。探すのに骨を折っています。わたしたちって、こんなことしていてまるであほねぇ…

本日はNHKの地方局がレ・コード館の取材に来ていて、なんだかそっちが大変そう。
夕方にもう一度読み合わせをやり、演出家さんらはいよいよ港に繰り出してカレイ釣りをするようであります。というわけで、本日の新冠だよりでした。まだ日は高い。
でも、秋の風が強い。写真は第3景の舞台の最初の読み合わせ風景です。
なんだか凄い格好だなぁ。つるはしですよ、つるはし。ではでは。(W)

通し稽古写真
読み合わせ風景

8月21日 合宿第3日

さてさて、昨日の「星のどうぶつたち」も無事終わり、「仲道郁代の音楽学校」合宿もいよいよ佳境に入り、とうとう台本が完成!…のはずだったのですが、日暮れの段階で、まだ3分の2。日暮れといえば、本日はすっかり晴れ渡り、遠く海の向こうには道南の山々が見えます。夕方は、西の海の方に壮大な夕日が沈み、外にいると寒くなりそう。すっかり秋で、トンボもつながって飛んでいます。

夕日のレ・コード館

んでもて、そんなことはどうでもいいわけで、よーするに台本が出来ない!今日は夕方はすっかり台本も出来て、港でカレイ釣りをしながら読み合わせをするはずだったのに。そこに釣り竿もあるのに…。ああ台本作家の内藤氏は、本日の午後に出来た台本の第2景を持ってあらわれ、読み合わせし、練習し、「明日は釣りだから」と宣言して、宿に籠もりに戻りました。他の連中は静内の町へ行って細かい小道具の買い物。小道具といえば、午後に地元新聞2社の取材が入り、第1景を通している場面を観て貰ったのですが(これはいったいなんなんじゃい、と相当に驚いていたり、台詞にやたらと納得していたり、プレスの常識を越えた出し物なのだなぁ)、なぜか下手にスコップとつるはしが置いてあるのを眺め、「これってなんですか?」「いや、第3景で使うんです」「クラシックの演奏会につるはしが出てきたのは前代未聞ですねぇ」果たして理解してくれたのやら?
ま、ともかく、淡々と制作は進んでおります。夜は肌寒い新冠からの本日のお便りでした。

つるはしの写真
読み合わせ風景

8月20日 合宿第2日

さてさて、昨晩は今日の「星のどうぶつたち」の粗仕込みを終え、夜はレコード館の裏の新冠駅の向こう、海がすぐ裏の町最大の歓楽地に繰り出すのであーる。そー、なんとこぎれいな、まるで北海道開拓地らしくない、神奈川の郊外住宅展示場みたいスナックやら飲み屋やらが数軒並ぶ場所であります。なんと、7時過ぎでもう真っ暗。空気が涼しい。東京の10月くらいの感じだろうか。

行ったお店はなんのことはない普通の飯屋だけど、裏は小さいながら港とあって、8月下旬からはあぶらがのったサンマであります。焼きます。刺身もあります。美味しいのです。イカ刺しも美味しいですねぇ。井原さんは烏賊納豆に感動していました。関西にはないのでしょうか。それから、旬は来月なのだけど、ししゃもの焼いたの。そして、行者ニンニクです。凄く力がつきそうで、刺激的です。にらみたいなものです。卵とじ。野菜炒めに入れたもの。そしてそして、キムチみたいにしてルイベにしたもの。さああ、これじゃ「星のどうぶつたち」は、スタッフからもの凄いにおいがしそうだぞ。

行者ニンニク料理新冠の町と海

今日の公演は、近隣の保育園や、子供連れのお母さん120名くらいがお客さんで、無料です。「アートスタート事業」と名付けられた今回の仲道一行の滞在は、一種のミニレジデンシィで、「演奏家が滞在して居るぞ」という感じを町中に醸し出すわけですね。そんななかで制作をやっていくわけです。さて、どんなことになるやら。

写真は、宿となっている「レ・コードの湯」から眺めた新冠(にいかっぷ)の町と海です。真ん中に出っ張って見えるのが「レ・コード館」。公共施設が町で一番立派というのはちょっとまずいんですけど、とレ・コード館の名物男の堤さんも照れくさそうに仰っております。(W)

8月19日 合宿第1日

今日から週末まで北海道は新冠での制作合宿。
今、新冠町レ・コード館という、レコードライブラリーと、図書室と、町民ホールとを一緒にした施設のホール客席で、仲道郁代さんが「オンディーヌ」をさらっているところです。
なんとぜーたくな。毎夏恒例、「仲道郁代の音楽学校」、昨年からは、8月中旬の演出家内藤裕敬氏や役者さんを交えた最終ストーミングの数日は晴海第一生命ホール楽屋で行い、芝居部分仕上げと仕込みは最初の公演地で合宿です。
昨年は倉敷、今年はサラブレッドの故郷、新冠が合宿所です。

台風が迫る昨晩、というか今朝、深夜1時半頃に大阪の内藤氏からやっと東京のセカンドプロデュースに電話で、ステーキ皿なり、ナイフとフォークなり、ジャージなりと、衣装と小道具の指定があり、まさしく嵐のごとき大騒ぎ。で、スタッフも、殆ど寝られないままに大雨の中に羽田に集まり、千歳まで雲ばかりでなーんにも見えない空を超えてやってきました。
既に内藤と舞台監督兼役者の藤田の大阪組は到着しており、仲道舞琴座長以下、仲道郁代ピアニスト兼役者、女優山下千景、子守の仲道さんのお父さん、制作プロデューサー児玉、セカンドプロデュース職員でツアー担当井原、台本制作担当箕口、文芸協力及び音楽の友誌記者の渡辺和らの一行は、新冠レ・コード館の名物男堤氏及び助手の紙谷さんと共におおきなバスに詰め込まれ、曇り空の北海道を2時間弱走ります。途中、苫小牧近辺は襟裳岬まで伸びる予定が某有力政治家の逮捕および高速道路見直し論議によって途中までしか出来ておらず、なぜか高速道路なのに無料の道路を通り、海沿いの道を牛やらサラブレットやらししゃもやらを眺めつつ、日本のサラブレットの故郷新冠にやってまいりましたとさ。

宿は、新冠町が誇る「レ・コードの湯」で、なんと温泉です!海辺の町やレ・コード館からちょっと高見に登ったところで、町や、台風で荒れ模様の海が見渡せます。目の前はポニー牧場で、最高の立地…なんだけど、お客さんが多くて現在増設中。ちょっと残念な見晴らし。

とにもかくにも、まだ台本は3分の1くらいしかできておらず、演劇部は宿で缶詰。
音楽部は、明日は「星の動物たち」の公演が朝の10時半からあるので、その練習などをするために、レ・コード館に来ています。

このレ・コード館の在り方とか、決して大きくない町での総合文化施設の在り方とか、こういうところでのアウトリーチ系公演の在り方とか、サラブレッドの姿に刺激され台本を書くべく燃えている演出家のこととか、いろいろ書くことはあるけど、ともかくまずは、台風にも邪魔されずに無事到着しました、というお話でした。ではでは。

写真は、レ・コード館の正面にどーんと出された仲道一座の広告。町で一番高い建物なのであります。
線路とちょっと民家をこえれば、海もすぐです。ちなみに次の出し物は、作家志茂田なにがしの講演会であります。おおおおお。 (構成・ガイドブック執筆:W)

レ・コード館正面
レ・コード館に到着